■虫歯は放置しても治る?治らない?
長崎県諫早市多良見町の歯医者 「諫早ふじた歯科・矯正歯科」の理事長の藤田です
歯科医院でもよく質問されるのが「虫歯の自然治癒」についてです。私たちが日常的にかかる病気は、身体の免疫力や自然治癒力によって治るものが多いので、虫歯も放置していれば治ると思っている方がいらっしゃいます。今回はそんな虫歯の自然治癒についてわかりやすく解説します。
▼虫歯を放置して治ることはありません
結論からいうと、虫歯は放置して治る病気ではありません。これは歯の専門家として断言できます。確かに、虫歯も風邪や胃腸炎と同じ感染症の一種ではあるのですが、それらの病気とは異なる経過をたどります。なぜなら、歯質に感染した細菌は、通常の免疫システムで排除することができないからです。そのため、放置していても病状が良くなることはありませんのでご注意ください。
▼初期の虫歯は少し違う?
発生して間もない「初期う蝕(=初期の虫歯)」に関しては、少し事情が異なります。というのも、初期の虫歯では歯を削るようなことはしないからです。初期の虫歯は「表層下脱灰(ひょうそうかだっかい)」という、歯の内部で歯質が溶ける現象が起こってはいるものの、歯に穴は開いていません。ですから、歯科医院でフッ化物ジェルを塗布することで再石灰化が促されて虫歯の進行を止められます。これは自然治癒とは異なりますが、歯を切削しなくて済むという点においては、とてもメリットが大きいといえます。
▼歯の神経が死んだ虫歯は“治った”と誤解されがち?
虫歯にはひとつの落とし穴があります。それは中等度から重度にかけての虫歯で、歯の神経が死んでしまう段階で起こります。専門的には「歯髄の失活(しっかつ)」と表現され、それまで生じていた痛みが嘘のように消え去るのです。眠りを妨げるほどの痛みが生じていた歯が何も感じなくなり、病気の自然治癒を予感させるような状態です。風邪やインフルエンザ、胃腸炎ならそれで快方へと向かっていきますが、虫歯はそう上手くはいきません。
◎病変は依然として残っている
風邪や胃腸炎で痛みが引いていった場合は、細菌やウイルスの数も減少しているものですが、虫歯の場合は状態がむしろ悪くなっています。歯の神経が死んでしまうほど細菌の活動が活発化しているからです。歯髄が収められている根管内は、繁殖した虫歯菌でいっぱいになっていることでしょう。さらには、歯髄を腐らせる腐敗菌の感染も加わり、やがては歯の根の先から汚染物質が漏れ出るようになります。その結果生じるのが「根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)」と呼ばれる炎症性疾患です。
◎根尖性歯周炎は歯周病?それとも虫歯?
根尖性歯周炎は“歯周炎”という名前が付いているように、歯茎や歯槽骨に起こる炎症性の病気です。いわゆる“歯周病”とは少し異なりますが、広い意味での歯周疾患のひとつといえます。主な原因が重症化した虫歯なので、混乱を招きやすいのですが、膿の塊などが生じるのは歯周組織である点にご注意ください。根尖性歯周炎が重症化すると顎の骨が破壊されたり、強い痛みを伴うようになったりします。根本的な原因となっている虫歯を治療しなければ、歯の根の先の病変もなくなりません。
▼まとめ
このように、虫歯は放置しても絶対に治ることはありません。放置すればするほど、症状が悪くなるだけです。虫歯治療に対しては「怖い」「痛い」といったネガティブなイメージが強いかと思いますが、当院であれば痛みの少ない方法で治すことも可能です。そんなやさしい虫歯治療をご希望であれば、いつでも当院までご連絡ください。早期に治療を開始すれば、痛い思いや怖い思いをすることもほとんどなくなりますよ。
長崎県諫早市多良見町中里129-14
医療法人 夢昂会 諫早ふじた歯科・矯正歯科