歯茎に行う再生療法
見た目を綺麗にする
「根面被覆術」という治療方法は、歯が長く見えるといった見た目の問題を改善させる効果が期待できます。
別の部分の歯肉を、歯の根が見える歯肉が後退し部分に移植します。
この治療法は露出した歯の根を再び覆う治療が可能です。しかしデメリットとして、移植するため歯肉を採取した部分が、治療した部分と同じように痛みを伴います。
「歯周組織」の再生
歯茎には「歯周組織」と呼ばれる歯を支えるための構造が存在しています。
構成は「歯肉」「歯槽骨」「歯根膜」「セメント質」からなる四つです。
歯茎が痩せてしまう原因は、歯槽骨が歯周病などの病気により失われてしまうからです。
そして、歯茎の状態を改善させるために歯を支えている骨や周囲の組織の再生を促す治療法が、「歯周組織再生治療」と呼ばれているものです。
選べる「歯周組織再生治療」の種類
治療内容が使用する材料によって変化するのが「歯周組織再生治療」です。
個人や治療法によって異なりますが、組織を再生するために3~6週間ほどの時間がかかります。
再生療法について
歯周組織には、エムドゲインやGTR、骨移植などの再生療法があります。また、FGG(遊離歯肉移植術)やCTG(結合組織移植術)が歯周形成外科手術として施されます。
骨移植
自家骨や人工骨を、歯槽骨が溶けたり骨が失われてしまった部位に移植する治療法です。虫歯や歯周病が骨を移植する周囲に発症している場合には、治療した後に移植を施します。
FGG(遊離歯肉移植術)
歯肉が下がってしまっている部分の周囲に、上顎の口蓋から上皮のついた歯肉を切り取ったものを移植します。
CTG(結合組織移植術)
歯根面を覆う歯肉に厚みを産み出させることが可能な治療法です。
歯肉が下がってしまっている部分の上皮と骨膜の間に移植するために、上顎の口蓋から結合組織のみを切り取る処置を施します。

歯茎の再生治療の内容について
(メリット・デメリット、リスク)
歯茎における再生治療
歯茎の再生治療は、歯茎が痩せた部分や、抜歯によってくぼんだ部分の見た目を改善する、歯周組織の再生を促す、といった目的のほかにも活用されることが多いです。
歯茎を再生させて位置を変更することにより、差し歯が長くて治療箇所が目立つのを短く見えるように変えることが可能です。
また治療の影響で歯茎が下がってしまうことが矯正治療を行うことにより起こる可能性がございます。そのため歯茎の再生治療を、予防や治療に採用することも多く見られます。
歯周病における再生治療
歯周病菌そのものに対処するものとは異なるのですが、選択肢として歯周病が重症化した影響により痩せてしまった歯茎に対する再生治療というものがあります。
歯周病が重症化してしまうと抜歯が必要になってしまう程に、歯を支える骨が吸収されて歯がグラグラになってしまいます。
こうした抜歯を避けるため、歯周組織再生治療を行う可能性があります。
歯石を除去するため歯茎を切開して外科処置を行う治療を、歯周病では行うこともあります。主にこうした治療と共に歯周組織再生治療はされることがほとんどです。
リスクと注意点
外科的な処置を歯茎の再生治療ではどの方法を選んでも行います。
そのため、患者様にかかる負担が大きい点に気をつけるようにすることが大切です。
治療直後に歯茎の縫合が開いてしまい出血するリスクがあります。また、治療箇所だけでなく、移植する歯茎を取った場所に痛みが伴うことがあるため、歯茎を移植する場合には注意が必要です。
また、歯茎をどの程度まで再生させられるかは一人一人の歯周病の進行度などの患者様それぞれの症状により変化します。
そのため、歯茎の再生が希望した場所まで治るわけではありません。
歯茎の再生(歯肉再生療法)Q&A
歯茎の再生とはどのような治療ですか?
歯茎の再生治療とは、加齢や歯周病などで下がってしまった歯ぐきを元の位置に回復させる治療法です。歯の根元が露出して見た目や感覚に影響を与える状態を改善し、機能性と審美性の両方を取り戻します。主に結合組織移植術や再生誘導材料(エムドゲインなど)を用いて行われ、専門的な技術が求められます。
歯茎が下がる原因には何がありますか?
歯茎が下がる原因はさまざまで、代表的なのは歯周病の進行、強すぎるブラッシング、加齢、歯並びの乱れ、過度の噛みしめ・歯ぎしりなどです。歯ぐきが下がると、歯の根が露出して知覚過敏や虫歯リスクが高まり、見た目の老化印象も強まります。早めの対策が重要です。
再生治療はどんな人に適していますか?
歯茎の退縮が軽度〜中等度で、歯周病がコントロールされている方が主な適応対象です。重度の歯周病で歯を支える骨まで失っている場合には、別の外科処置が必要になることがあります。また、タバコを吸う方や糖尿病のある方は治療の効果が下がるため、事前の生活改善も重要です。
歯茎再生にはどのような方法がありますか?
主な方法には、上あごの内側から結合組織を採取して移植する「結合組織移植術(CTG)」と、再生誘導材料を使用して歯ぐきや骨の再生を促す「エムドゲイン療法」があります。ケースによってはこれらを併用することもあります。どちらも外科的処置を伴いますが、自然な仕上がりが得られます。
治療は痛みを伴いますか?
治療は局所麻酔下で行われるため、施術中の痛みはほとんどありません。術後は一時的に腫れや違和感が出ることがありますが、鎮痛剤で十分にコントロール可能です。術後1週間ほどで抜糸を行い、2〜3週間で大部分の回復が見込まれます。正しいアフターケアで痛みは最小限に抑えられます。
歯茎の再生治療にリスクはありますか?
外科処置を伴うため、出血や腫れ、感染などのリスクはゼロではありません。ただし、適切な術前評価と術後管理を行えば、合併症の発生率は非常に低いとされています。また、喫煙者や全身疾患のある方では治癒が遅れたり、効果が十分に得られないこともあるため、慎重な診断が必要です。
審美的なメリットはありますか?
はい、歯ぐきが下がって露出した歯の根元を覆うことで、歯の長さが自然になり、若々しい印象を取り戻せます。特に前歯においては見た目の印象が大きく変わるため、審美的なニーズが高い治療です。また、笑ったときに歯ぐきが不自然に見える「ガミースマイル」の改善にも効果があります。
歯茎の再生は何年くらい持ちますか?
治療後の結果は長期間維持されることが多く、適切な口腔ケアを行えば10年以上持つ例もあります。ただし、歯周病の再発やブラッシング圧の問題、噛み合わせの悪化などがあると後戻りすることもあるため、術後のメンテナンスと生活習慣の見直しが成功の鍵になります。
歯茎再生は保険がききますか?
残念ながら、歯ぐきの審美目的の再生治療は原則として健康保険の適用外となり、自費診療になります。費用は治療方法や範囲により異なりますが、1ヶ所あたり5万〜15万円が目安です。治療を検討する際は、費用・効果・期間について事前にしっかりと説明を受けることが大切です。
治療後に気をつけることは何ですか?
術後は過度なブラッシングやうがいを避け、医師の指示に従ってケアを行うことが重要です。また、喫煙は治癒を妨げるため絶対に控えるべきです。定期的なメンテナンスとプラークコントロールを継続することで、治療効果を長く保つことができます。治療後1週間前後での経過観察も欠かせません。