「受け口」「出っ歯」は自然に治る?放置してはいけない理由
はじめに:噛み合わせの重要性
噛み合わせと聞くと、単に「歯の並びが綺麗かどうか」だけを想像しがちですが、実はそれ以上に深い意味があります。噛み合わせは、見た目だけではなく、日常生活のあらゆる動作――食べる、話す、呼吸する――に影響を与える極めて重要な要素なのです。
噛み合わせが健康に与える影響
良い噛み合わせは、食事を正しく咀嚼できることから消化の助けにもなり、栄養吸収にも影響します。また、発音の正確さや、呼吸のしやすさ、さらには顔全体のバランスにも関係してきます。反対に噛み合わせが悪いと、頭痛、肩こり、耳鳴りなど、直接関係なさそうな症状にもつながる可能性があります。
見た目だけじゃない、機能面の問題
受け口や出っ歯は、見た目のコンプレックスとして扱われることが多いですが、本当の問題は機能面です。噛む力がうまく伝わらなかったり、発音が不明瞭になるなど、生活の質を下げるリスクを秘めています。子どものころは見た目の違和感だけでも、大人になるとそれが多方面の支障へと発展することもあるのです。
「受け口」とは何か?
定義と特徴
「受け口」とは、正式には「反対咬合」と呼ばれる状態で、下の前歯が上の前歯より前に出ている噛み合わせのことを指します。横から見ると、下顎が前に突き出しているような見た目になり、顔の印象が大きく変わる原因となります。
原因:遺伝か生活習慣か?
受け口の主な原因としては、遺伝的な要素が大きいとされています。親が受け口の場合、子どもにも同じ傾向が見られることは珍しくありません。しかし、日常の癖や生活習慣も見逃せないポイントです。例えば、口呼吸や頬杖、指しゃぶりなどが続くことで、顎の成長バランスが崩れ、受け口になってしまうケースもあります。
受け口のデメリットとリスク
受け口の状態が続くと、発音の不明瞭さや咀嚼の効率低下だけでなく、顎関節症のリスクも上がります。また、前歯で食べ物をうまく噛み切れず、奥歯にばかり負担がかかることで歯の寿命も縮まります。精神的な面でも、顔の印象が大きく変わるため、自信を持てずに対人関係に影響が出る場合もあります。
「出っ歯」とは何か?
出っ歯の特徴と見分け方
出っ歯とは、上の前歯が極端に前に出ている噛み合わせのことで、専門的には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれます。口を閉じても歯が見えてしまったり、唇が閉じづらくなったりするため、横顔のバランスが崩れがちです。
出っ歯になる原因とは?
出っ歯の原因は一つではありません。最も一般的なのは、遺伝的に上顎が前に出ていたり、下顎が小さく成長したりするケースです。また、乳歯期の指しゃぶりや、舌で前歯を押す癖(舌癖)などの習慣も、歯並びを前方に押し出す原因となります。こうした小さな癖が積み重なることで、徐々に出っ歯になってしまうのです。
出っ歯を放置するとどうなる?
見た目の問題はもちろんのこと、出っ歯を放置することで噛み合わせのズレが深刻化します。食べ物をしっかり噛み砕けなかったり、発音が不明瞭になったりするだけでなく、口を閉じにくいため口呼吸が習慣化し、虫歯や歯周病のリスクも高まります。また、精神的なコンプレックスにもつながりやすく、人前で話すことに苦手意識を持つようになる子どもも多いです。
自然に治る可能性はあるのか?
幼児期の骨格変化と歯の成長
一部の軽度な受け口や出っ歯は、成長と共に自然に改善されるケースもあります。特に乳歯から永久歯への生え変わり時期に顎の成長が適切に進めば、ある程度噛み合わせが整うこともあります。しかし、それはあくまで例外的な話であり、自然に治る保証は全くありません。
成長に任せるリスクとは
「そのうち治るだろう」と成長に任せて放置してしまうと、骨格が固定されて矯正が難しくなるケースもあります。特に思春期以降は顎の骨が硬くなり始めるため、矯正にかかる時間や費用が一気に増えるリスクがあるのです。早期に専門家の診断を受けることが、最も賢明な選択です。
何歳までに判断すべきか?
理想的には、6歳から10歳の間に一度、矯正歯科での相談を受けるのがベストです。この時期であれば、顎の成長を利用して無理なく噛み合わせを修正できる可能性が高くなります。成長に伴う自然治癒を期待するにしても、プロの目で適切なタイミングを見極めてもらうことが欠かせません。
放置してはいけない理由
顎関節症や発音障害のリスク
受け口や出っ歯を放っておくと、顎の関節に不自然な負荷がかかるため、顎関節症を引き起こす可能性が高まります。さらに、前歯の位置異常によって発音に支障をきたし、「さ行」や「た行」などが聞き取りづらくなるケースも少なくありません。
精神的なストレスや自信の喪失
小中学生のころから「歯並びが悪い」とからかわれたり、自分の見た目にコンプレックスを持ったりすることで、自己肯定感が低下することもあります。特に思春期の子どもにとって、見た目の問題は人間関係や性格形成にも影響を及ぼしかねません。
将来的な治療費の増加
早めに対処すれば短期間で済む矯正治療も、成長してからでは大掛かりな処置が必要になることが多く、その分費用も跳ね上がります。たとえば外科手術を伴う矯正になると、100万円以上の費用がかかるケースも。未来のためにも、早めの対応がコスト面でも賢明です。
長崎県諫早市多良見町中里129-14
医療法人 夢昂会 諫早ふじた歯科・矯正歯科
電話番号 0957-43-2212