2025/12/19

妊娠中に歯周病になると胎児に影響?

 妊娠中に歯周病になると胎児に影響しますか?

妊婦さんが知っておくべき「口腔ケアと赤ちゃんの健康」

諫早ふじた歯科・矯正歯科の藤田です。今日は妊娠中の歯周病管理についてです。

妊娠中はホルモンバランスの変化やつわり(悪阻)の影響で、歯周病になりやすく、進行しやすい時期と言われています。

「妊娠中の歯周病は胎児に良くない」と耳にすることがありますが、これは本当なのでしょうか?

【最重要】妊娠中の歯周病がもたらす赤ちゃんへの影響

結論からお伝えします。 妊娠中の歯周病は、早産や低体重児出産のリスクを高める可能性があります。

歯周病がある妊婦さんは、以下のリスクが高まることが国際的な研究で報告されています。

  • 早産(37週未満での出産)
  • 低体重児出産(2,500g未満)
  • 妊娠高血圧症候群

特に重要なのは、歯周病菌が出す炎症性物質が血流を介して全身に広がり、子宮の収縮を促してしまう可能性があることです。

妊娠

1. なぜ歯周病が「お口の外」に影響するのか?

歯周病は「口だけの病気」ではなく、全身に影響を与える炎症性疾患と考えられています。

🔹 炎症物質が血流を通って子宮へ

重度の歯周病では、歯ぐきの炎症部位から細菌や**炎症物質(サイトカインなど)**が血液に入り込みます。この物質が子宮に届くと、子宮の収縮を促す作用をもつホルモンが増加する可能性があります。

この影響が、早産のリスクを高めてしまうと考えられているのです。

🔹 妊娠中は歯周病が悪化しやすい2つの理由

妊娠中は体の変化により、誰でも歯周病が進行しやすい環境になります。

  1. ホルモンバランスの変化 女性ホルモンの増加により、歯周病菌が特に増えやすい環境になり、歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりします。
  2. つわりによるブラッシング困難 つわりの気持ち悪さで、奥歯まで十分に歯ブラシが届かず、汚れがたまりやすくなります。

2. 妊娠中に特に注意したい口腔トラブル

妊婦さんの約5〜7割が経験すると言われるのが「妊娠性歯肉炎」です。

  • 妊娠性歯肉炎:歯ぐきが赤く腫れ、出血しやすくなります。
  • むし歯の増加:つわりで食事が不規則になったり、酸っぱいものを好んだりすることで、口内環境が酸性に傾き、むし歯菌が増えやすくなります。
  • 唾液量の減少:唾液による自浄作用や抗菌作用が低下し、細菌が増殖しやすくなります。

これらが重なることで、普段よりも歯周病が進みやすく、炎症が強くなりやすい状態になります。

3. 妊娠中でも歯科治療は可能?【治療のベストな時期】

ご安心ください。妊娠中でも歯科治療は可能です。

特に体調が落ち着く**安定期(妊娠中期:16〜27週)**が、最も安全で推奨されます。

妊娠時期

治療方針

妊娠初期(~15週)

基本は応急処置のみ。歯周病検査・クリーニングは安全に行えます。

妊娠中期(1627週)

**最も治療に適した時期。**歯周病の本格的治療、むし歯治療、クリーニングが可能です。

妊娠後期(28週~)

長時間の治療は控えます。歯周病の進行を防ぐ処置やクリーニングが中心です。

💡 レントゲン撮影について 妊娠中期であれば、防護エプロン(鉛入りのもの)を使用することで、胎児への影響はほぼゼロです。安心して必要な検査を受けていただけます。

🔹 妊娠中に歯周病を治療すべき理由

歯周病を放置すると、早産・低体重児出産のリスクを高める可能性があります。逆に、歯周病の治療を行うことで以下の効果が得られます。

  • 口の中の炎症が減る
  • 歯周病菌の量が減る
  • 血流への炎症物質が減る

これにより、母体と胎児の健康に良い影響を与えます。

4. 妊娠中にできる「歯周病予防」5つのポイント

妊娠中の歯周病を予防し、赤ちゃんの健康を守るためには日々のケアが大切です。

  1. やわらかめの歯ブラシで優しく磨く 出血しやすい時期でも続けられるよう、軽い力で磨きましょう。
  2. フロス・歯間ブラシをできる範囲で使用 歯ブラシだけでは取れない汚れ(プラーク)の除去は必須です。体調の良い日だけでも構いません。
  3. つわり時は無理に歯磨きしない 以下の工夫で乗り切りましょう。
    • 香りの弱い歯磨き粉を使う
    • うがいだけでも可
    • 体調の良い時間帯に磨く
  4. 甘いもの・間食を控える むし歯菌が増えやすいため、だらだら食べを避けることが大切です。
  5. 歯科医院での定期クリーニング 妊娠中は通常よりも1〜2ヶ月ごとのチェックが、歯周病やむし歯の早期発見・予防に最も安全で効果的です。

5. お母さんの口腔ケアは「赤ちゃんの未来の健康」につながる

近年の研究では、母親の口の中の細菌(特にむし歯菌)は、出産後に唾液などを介して赤ちゃんへ移りやすいことが分かっています。

つまり、妊娠期〜出産後の口腔ケアは、早産・低体重児予防だけでなく、赤ちゃんの将来のむし歯予防にも深く関わっているのです。

妊娠中の不安な時期だからこそ、口の中を整えることで、安心して出産・育児の準備を進めることができます。

まとめ:妊娠中の歯周病は早めの治療と予防が母子の健康につながる

最後にポイントをまとめます。

  • ✓ 妊娠中の歯周病は早産・低体重児のリスクを高める可能性がある。
  • ✓ 妊娠中期(16〜27週)は治療に最も適した時期
  • ✓ 妊娠中でも歯周病治療・クリーニングは安全に行える
  • ✓ 予防を徹底すれば、赤ちゃんのむし歯予防にもつながる。

当院では、妊婦さんの体調に最大限配慮した上で、負担の少ない治療を心がけています。気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

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