2026/01/19

つわりで歯磨きがつらい時は?

つわりで歯磨きがつらい時はどうすれば?

エビデンスに基づいた妊娠中の口腔ケア方法

はじめに

諫早ふじた歯科・矯正歯科の藤田です。妊娠初期から多くの方が経験する「つわり」。日本産科婦人科学会の報告によれば、妊婦の50〜80%が何らかのつわり症状を経験し、そのうち約40%の方が歯磨き時の不快感を訴えています。

妊婦がつわり

「歯を磨かなきゃいけないのは分かっているけれど、どうしても無理…」そんな罪悪感を抱えながら、毎日つらい思いをしている方も少なくありません。本記事では、科学的根拠に基づいた対処法と、妊娠中に特に注意すべき口腔内トラブルについて、歯科医師の立場から詳しく解説します。

妊娠中はなぜ歯磨きがつらくなるのか?

ホルモン変化による生理的反応

妊娠中は血中のエストロゲンが通常の10〜30倍、プロゲステロンが10倍以上に増加します。この急激な変化が、お口の環境を大きく変えてしまいます。

  • 嗅覚の過敏化: 歯磨き粉の香料(ミント等)への感受性が通常の2〜3倍に上昇します。
  • 嘔吐反射の亢進: プロゲステロンの影響で胃腸の動きがゆっくりになり、喉への刺激(歯ブラシ)で吐き気を感じやすくなります。
  • 唾液の変化: 唾液が酸性に傾き、量も減少するため、お口の自浄作用が低下します。

歯磨き不足による具体的なリスク

適切なケアが難しい時期ですが、放置すると以下のようなリスクが高まります。

リスク項目

内容とデータ

妊娠性歯肉炎

妊婦の**6075%**が経験。歯ぐきの腫れや出血が特徴。

むし歯の増加

少量頻回食や唾液の質の変化により、約40%でむし歯リスクが上昇。

早産・低出生体重児

重度歯周病の場合、早産リスクが2.8になるとの報告があります。

ポイント: 歯周病菌が産生する炎症物質が、子宮収縮を誘発する可能性が指摘されています。お口の健康は、赤ちゃんを守ることにも繋がります。

つわり中の効果的な口腔ケア方法:基本は「完璧より継続」

「1日1回でも、3分より1分でも」という気持ちで、無理のない範囲で進めましょう。

1. タイミングの工夫

多くの妊婦さんで、夕方〜就寝前が最も症状が軽いというデータ(約60%)があります。体調が良い時間帯を見計らってケアを行いましょう。

2. 道具の選択と工夫

  • ヘッドは小さく: 縦15〜18mm程度のコンパクトヘッド。
  • 歯磨き粉を変える: 無香料・低発泡タイプ、または「水だけ」でもOKです。
  • 姿勢: 下を向いて、唾液を自然に流す姿勢が楽です。

3. 代替ケアの活用

どうしても磨けない時は、以下の方法を組み合わせてください。

  • ぶくぶくうがい: 水やノンアルコールの洗口液で30秒。
  • キシリトールガム: 唾液を出し、お口の中を中和します(含有率50%以上推奨)。

【重要】嘔吐直後の歯磨きはNG!

嘔吐した直後は、胃酸(強酸)で歯のエナメル質が一時的に柔らかくなっています。

  1. まずは水や重曹水でうがいをして酸を流す。
  2. 30分以上空けてから、優しく磨く。
    これが、歯を削らないための鉄則です。

妊娠中の歯科受診について

妊娠時期

推奨される対応

初期 (15)

つわりに配慮した応急処置やクリーニング。

中期 (1627)

ベストタイミング。 必要な治療はすべて可能です。

後期 (28週~)

お腹に負担のない範囲での処置。

「レントゲンや麻酔は大丈夫?」

歯科用X線の被曝量はごく微量で、防護エプロンにより胎児への影響はほぼゼロです。麻酔や一部の鎮痛薬(アセトアミノフェン)も安全性が確認されていますので、ご安心ください。

妊娠中の口腔ケア Q&A

Q: 歯ぐきから出血します。磨かない方がいい?

A: 妊娠性歯肉炎のサインです。やわらかいブラシで優しく磨き続けることで、2週間ほどで改善することが多いです。

Q: つわりで全く磨けない日が続いています…

A: 数日なら大丈夫です。無理せず、うがいやガムでしのぎましょう。2週間以上続く場合は一度ご相談ください。

まとめ

  • 完璧を目指さず、できる範囲で継続する
  • 体調の良い時間を狙い、道具を工夫する
  • 安定期(中期)に一度検診を受ける

つわりは一時的なものです。「今はできなくても、落ち着いたらしっかりケアすれば大丈夫」という気持ちで、ご自身の体調を最優先にしてください。

妊娠中の口腔ケアでお困りの方へ

諫早ふじた歯科・矯正歯科では、妊娠中の患者様に寄り添った診療を行っています。

  • 体調に合わせた短時間診療
  • 母子手帳への記入対応
  • 個室診療室完備

どんな些細な不安でも、お気軽にご相談ください。

次は、現在のお口の状況について、歯科健診でチェックしてみませんか?