2026/02/06

親知らずとはどんな歯?

親知らずとはどんな歯?抜くべき?残せる?

こんにちは、長崎県諫早市多良見町の「諫早ふじた歯科・矯正歯科」です。

歯科医院を訪れる患者様から、非常によくいただくご相談の一つに「親知らず」があります。 「親知らずが痛む気がする」「奥歯の奥に何か生えてきた」「抜かなきゃいけないと言われたけれど怖くて……」など、悩みは人それぞれです。

親知らずは、お口のトラブルメーカーになることもあれば、条件が揃えば将来の「スペアの歯」として役立つこともある、非常に特殊な歯です。この記事では、親知らずの正体から、抜歯のメリット・デメリット、放置するリスクまで、歯科医の視点から徹底的に解説します。

親知らず 虫歯

1. 親知らずとは?その由来と現代人の特徴

親知らずの正式名称

親知らずの正式名称は**「第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)」**といいます。 前歯の真ん中から数えて8番目にあるため、歯科業界では「8番」とも呼ばれます。永久歯の中で最も最後に生えてくる歯であり、一般的には10代後半から20代前半にかけて顔を出します。

名前の由来:なぜ「親知らず」?

昔の人の寿命は今よりずっと短く、この歯が生えてくる20歳前後には、すでに親が亡くなっていたり、親元を離れて自立していたりすることが多かったため、「親が知らないうちに生えてくる歯」としてこの名がついたと言われています。

現代では親御さんもご存命であることがほとんどですが、言葉の通り「親の管理を離れた時期に生える、トラブルの多い歯」というニュアンスは今も変わりません。

現代人の顎と親知らずの関係

実は、現代人の多くが親知らずに悩まされるのには、明確な理由があります。それは、**「顎の退化」**です。

太古の昔、人類は硬い木の実や生の肉を主食としていました。そのため、しっかり噛む必要があり、顎の骨は非常に大きく発達していました。親知らずも他の歯と同じように真っ直ぐ生え、重要な「噛む道具」として機能していたのです。

しかし、調理技術が発達し、柔らかい食べ物が中心となった現代では、強い力で噛む必要がなくなり、人間の顎は徐々に小さくなってきました。 ところが、歯の大きさや本数は急には変わりません。狭くなったスペースに無理やり親知らずが生えようとする結果、斜めを向いたり、途中で止まったり、骨の中に埋まったままになったりと、さまざまな「生え方の異常」が起こるようになったのです。

2. なぜ親知らずはトラブルになりやすいのか

親知らずが他の歯に比べて圧倒的にトラブルを引き起こしやすい理由は、主に3つあります。

① 清掃性が極端に悪い

親知らずは、お口の最深部に位置しています。 ただでさえ歯ブラシが届きにくい場所ですが、さらに半分だけ歯ぐきが被っていたり、斜めに生えて手前の歯との間に深い隙間ができたりしていると、どんなに丁寧に磨いても汚れ(プラーク)を取り残してしまいます。 このプラークが原因で、親知らず自身が虫歯になるだけでなく、手前の大切な「7番目の歯(第二大臼歯)」まで虫歯にしてしまうことが多々あります。

② 「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」の発生

歯が腫れた

親知らずの周りの歯ぐきが細菌感染して炎症を起こすことを「智歯周囲炎」と呼びます。 これは、歯と歯ぐきの間の「ポケット」に汚れが溜まり、そこで菌が繁殖することで起こります。

  • 歯ぐきがむずがゆい、重たい感じがする
  • 噛むと奥歯のあたりが痛い
  • 歯ぐきから膿が出る、口臭が強くなった などの症状から始まり、悪化すると顔の半分が腫れるほどの大ごとになることもあります。

③ 歯並びへの悪影響

親知らずが横向きに埋まっている場合、手前の歯を前の方へ、前の方へと押し出す力をかけ続けることがあります。これにより、せっかくきれいに並んでいた前歯の歯並びがガタガタになってしまう(叢生:そうせい)ケースも珍しくありません。特に、矯正治療を終えた後の後戻りの原因としても親知らずは注視されます。

3. 【徹底比較】抜いたほうがいいケース vs 抜かなくていいケース

「親知らずは必ず抜くもの」というイメージを持たれがちですが、実は歯科医もすべてのケースで抜歯を勧めるわけではありません。

A. 抜いたほうがよいケース(抜歯推奨)

  1. 痛みや腫れを繰り返している 一度腫れたところは、体の抵抗力が落ちたときに必ず再発します。何度も炎症を起こすと、周囲の骨が溶けてしまうこともあるため、早めの抜歯が賢明です。
  2. 大きな虫歯になっている、または手前の歯が虫歯になりそう 一番奥の虫歯治療は器具が届きにくく、精度を保つのが困難です。治療しても再発する可能性が高いため、抜歯を選択したほうが将来的な負担は少なくなります。
  3. 横向きに生えて(水平埋伏)、手前の歯を圧迫している 手前の歯の根っこを溶かしてしまったり、歯並びを乱したりする原因になります。
  4. 歯ぐきを噛んでしまっている 親知らずが変な方向に生えたせいで、頬の粘膜や向かい側の歯ぐきを傷つけてしまい、口内炎のような痛みを引き起こしている場合です。
  5. 嚢胞(のうほう)ができている レントゲンで見ると、埋まっている親知らずの周囲に袋状の影が見えることがあります。これは「含歯性嚢胞」などの可能性があり、顎の骨を圧迫するため抜歯と摘出が必要です。

B. 抜かなくてもよいケース(温存・経過観察)

  1. 真っ直ぐ生えていて、上下でしっかり噛み合っている お掃除もしやすく、機能している歯であれば、大切な身体の一部として残します。
  2. 完全に深く骨の中に埋まっていて、症状がない 神経に近い場所で深く埋まっており、かつ周囲に炎症の兆候がない場合は、無理に抜くリスク(神経損傷など)を考慮して様子を見ることもあります。
  3. ブリッジや移植の材料として使える可能性がある もし手前の歯(7番)を失ってしまった場合、条件が良ければ親知らずを土台にしてブリッジを作ったり、親知らずを欠損部に「移植」したりできる場合があります。このようなメリットが期待できる場合は、抜かずに保存します。

4. 親知らずを放置することの隠れたリスク

「今は痛くないから大丈夫」と放置することには、いくつかの落とし穴があります。

突然の激痛と全身症状

親知らずの炎症は、疲れが溜まった時や風邪を引いた時など、免疫力が低下したタイミングで爆発します。 炎症が顎の周囲の隙間に広がると、

  • 口が指1本分も開かなくなる(開口障害)
  • 物が飲み込めなくなるほどの痛み(嚥下痛)
  • リンパ節が腫れ、高熱が出る といった全身症状に繋がります。こうなると、通常の歯科治療ではなく点滴や入院が必要になるケースもあります。

妊娠・出産期のトラブル

特に女性の方に注意していただきたいのが、妊娠中の親知らずトラブルです。 妊娠中はホルモンバランスの影響で歯ぐきが腫れやすくなる(妊娠性歯肉炎)傾向にあり、さらに、つわりで奥までしっかり磨けなくなることで、親知らずが暴れだすことがよくあります。 しかし、妊娠中はレントゲン撮影や麻酔、痛み止めの服用に制限が出るため、十分な処置ができない場合があります。将来の妊娠を考えている方は、その前に親知らずのチェックを受けておくことを強くおすすめします。

5. 親知らずの診断と抜歯の流れ

当院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、最新の設備と丁寧なステップを大切にしています。

ステップ1:精密な診断

まずは肉眼でのチェックに加え、パノラマレントゲン撮影を行います。 親知らずの根っこが顎の神経(下歯槽神経)に近い場合や、複雑に埋まっている場合は、さらに歯科用CTを使用します。CTを用いることで、3次元的な位置関係をミリ単位で把握できるため、神経麻痺などの合併症リスクを最小限に抑えた、安全な抜歯計画を立てることが可能です。

ステップ2:カウンセリング

「なぜ抜く必要があるのか」「抜かずに残すとどうなるのか」を詳しくご説明します。抜歯の手順、予想される所要時間、術後の腫れや痛みの期間についても丁寧にお話しし、患者様にご納得いただいた上で進めます。

ステップ3:抜歯手術(局所麻酔)

麻酔をしっかりと効かせた状態で行いますので、術中に「痛み」を感じることはほとんどありません。 真っ直ぐ生えている歯であれば数分で終わることもありますし、横向きに埋まっている場合は、歯を分割したり少し骨を削ったりして取り出します。

ステップ4:アフターケア

術後は痛み止めと抗生剤を処方します。 「親知らずを抜くと顔が腫れる」というイメージがあるかもしれませんが、腫れのピークは術後2〜3日目で、その後1週間ほどで自然に引いていきます。当院では傷口の治りを早めるための指導も徹底しています。

6. まとめ:親知らずは「お口の将来」を見据えた相談を

親知らずは、単に「抜く・抜かない」の二択ではありません。 患者様の現在の年齢、お口全体の清掃状態、将来の歯の欠損リスク、そして現在のライフスタイル(受験、結婚、仕事の繁忙期など)まで考慮して、**「いつ抜くのがベストか」**を判断する必要があります。

放置して手遅れ(手前の健康な歯まで失う)になるのが、歯科医として最も悲しい事態です。 「自分の親知らずがどうなっているか分からない」という方は、ぜひ一度、検診にいらしてください。レントゲン一枚で、将来のトラブルを回避できるかもしれません。

皆さんが一生、自分の歯でおいしく食事ができるよう、私たちが全力でサポートいたします。

🏥 医院情報

医療法人 夢昂会 諫早ふじた歯科・矯正歯科

  • 住所: 〒859-0403 長崎県諫早市多良見町中里129-14
  • 電話番号: 0957-43-2212
  • 診療内容: 歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科
  • アクセス: 多良見ICより車で3分、喜々津駅からも通いやすい場所にあります。

お口のことで少しでも気になることがあれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

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