2025/07/16

歯周病でもインプラント治療は受けられる?治療前に知っておきたいこと

こんにちは。長崎県諫早市にある歯医者「諫早ふじた歯科・矯正歯科」です。

インプラントのイメージ

「インプラント治療を受けたいけれど、歯周病があっても大丈夫?」「歯周病を治さないままインプラントを入れたら問題が起きる?」と不安をお持ちの方もいるでしょう。歯周病によって歯を失った患者さまにとって、インプラント治療は魅力的な選択肢の一つです。

しかし、歯周病を治療せずにインプラントを受けることはリスクを伴います。歯科クリニックで精密な検査を受け、慎重な治療計画を立てることが極めて重要となります。

この記事では、歯周病をお持ちの患者さまがインプラント治療を受ける際に知っておくべきリスクについて詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。

歯周病でもインプラント治療は受けられる?

歯周病のイメージ

結論から申し上げますと、歯周病のままではインプラント治療は受けられません。歯周病を治療せずにインプラントを埋入すると、さまざまなリスクが伴います。

歯周病のままインプラント治療を受けるリスク

歯周病を治療せずにインプラントを埋入するリスクは、以下のとおりです。

インプラントの周囲に炎症が起きやすくなる

歯周病があるとインプラント周囲に炎症が起きやすくなります。この状態をインプラント周囲炎と呼び、プラークに含まれる細菌が原因です。人工歯根は自己防御力がないため、一度炎症が始まると骨が溶けやすく、最悪の場合はインプラントの脱落に至ります。

骨の減少が治療の妨げになる

歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨という骨が徐々に失われていきます。歯槽骨が足りない状態では、インプラントを安定して固定できず、手術後にグラついたり抜けたりする可能性もあります。

成功率が低くなりやすい

歯周病を放置したままインプラントを行うと、術後の感染リスクが高まり、炎症や骨吸収のトラブルが増えやすいです。インプラント治療期間中に口内環境が悪化すると、当初の計画通りに進まなくなる恐れもあります。

その結果、インプラントの脱落や寿命短縮、再治療の必要性が高まり、無駄な負担が増えます。

歯周病治療の流れ

歯周病治療をするためにカウンセリングをうける患者

前述のとおり、歯周病治療はインプラント治療前に行う必要があります。歯周病治療の流れは、以下のとおりです。

カウンセリング

初診では、歯科医師が患者さまから症状やお口まわりの生活習慣、これまでの治療歴などを詳しく伺います。ヒアリングした内容と検査結果をもとに、歯周病の進行度やリスクを図や模型で示しながら説明します。

検査

歯茎のポケットの深度、出血の有無、歯のグラつきなどを測定し、プラークや歯石の付着状況を確認します。さらに、エックス線撮影で歯槽骨の厚みや高さを評価し、口内全体のデータを集めます。

検査は基本治療の後にも行い、改善度合いを客観的に判断しながら次のステップを決定していきます。

歯周基本治療

ブラッシング指導を行い、磨き残しを減らすためのセルフケアをサポートします。同時にPMTC(専門家による機械的清掃)でプラークや歯石を徹底的に除去し、スケーラーとルートプレーニングで汚染された歯根面を滑沢に整えます。

再検査

基本治療後に再びポケットの深度や出血、動揺度を測定し、初診時と比較して改善度を評価します。歯槽骨の状態はエックス線で再確認し、治療効果を数値と画像の両面から把握するのです。

検査結果をもとに、メンテナンスへ移行するか、さらに基本治療を継続するか、外科的治療を行うかを判断し、計画を更新します。

外科的治療への移行

深いポケットや除去困難な歯石が残る場合は、まずフラップ手術で歯茎を剥離して歯根面を露出させ、徹底的にクリーニングしてから縫合します。GTR法やエムドゲインなどを用いた歯周組織再生療法で、失われた組織の回復を図ることもあります。

外科処置後の再評価

外科的治療を終えた部位について、再度ポケット深度や歯茎の厚み、出血の有無を検査し、歯槽骨の再生状況をエックス線で確認します。検査結果を患者さまに説明し、必要な追加処置や修正を判断します。

改善が十分であれば、メンテナンスに移行します。

メンテナンス(定期検診)

歯周病は再発しやすいため、治療を終えた後も定期的に歯科クリニックで検診を受けましょう。検診では、プラークの付着度合いやポケット深度、歯茎の炎症を再評価し、そのときの口腔状態に応じてPMTCやブラッシング指導を実施します。

定期的なケアを続けることで、長期にわたって健康な歯周組織を維持できます。

インプラント治療後に歯茎が炎症を起こすのを防ぐには

インプラント治療後に歯茎が炎症を起こさないようにセルフケアと定期メンテナンスをするイメージ

インプラント治療後に歯茎の炎症を防ぐためのポイントは、以下のとおりです。

セルフケアの徹底

インプラント周囲の炎症を予防するためには、毎日の丁寧なブラッシングが欠かせません。特に、歯と歯茎の境目やインプラントの根元部分は汚れが溜まりやすいため、意識して磨くことが大切です。

柔らかめの歯ブラシやインプラント専用のケア用品を使用し、優しく丁寧にブラッシングしましょう。また、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間の汚れも取り除くことが効果的です。

自己流のケアでは不十分な場合もあるため、歯科クリニックでブラッシング指導を受けるとよいでしょう。

歯科クリニックでの定期的なメンテナンス

インプラントを長持ちさせるためには、歯科クリニックでの定期的なメンテナンスが重要です。セルフケアでは取り除けない歯石やプラークを、専門の器具を使って徹底的に清掃してもらいましょう。

また、インプラントや周囲の歯茎の状態をチェックし、炎症の兆候がないかを確認してもらうことも大切です。定期的なメンテナンスは、インプラント周囲の炎症予防やトラブルの早期発見につながります。

インプラント治療ができない歯周病以外の原因

歯周病以外でインプラント治療ができない妊婦

インプラント治療が難しいとされる歯周病以外の主な原因は、以下のとおりです。

顎の骨の厚みや高さが不足している

インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む治療法です。そのため、骨の厚みや高さが十分でないと、インプラントを安定して固定することが難しくなります。

骨の不足は、歯周病や抜歯後の骨吸収などが原因で起こることがあります。このような場合、骨を増やすための骨造成手術を行えば、インプラント治療が可能になることもあります。

全身疾患の影響

糖尿病や腎疾患、骨粗しょう症などの全身疾患がある場合、インプラント治療に影響を及ぼすことがあります。例えば、糖尿病では傷の治りが遅くなり、感染リスクが高まることがあります。

また、骨粗しょう症では骨の密度が低下し、インプラントの安定性に影響を与える可能性があります。これらの疾患がある場合は、主治医と連携し、全身の健康状態を管理しながら治療を進めることが重要です。

顎の骨の成長が未完成な未成年

顎の骨がまだ成長段階にある未成年者に対しては、インプラント治療は一般的に推奨されません。成長途中でインプラントを埋め込むと、骨の成長に伴ってインプラントの位置がずれて、噛み合わせに影響を及ぼす可能性があります。

そのため、顎の骨の成長が完了するまで、他の治療法(入れ歯やブリッジなど)で対応し、適切な時期にインプラント治療を検討することが望ましいです。

妊娠中の方

妊娠中は、ホルモンバランスの変化や体調の変動があるため、インプラント治療は一般的に控えられます。また、治療中に使用する麻酔や薬剤が胎児に影響を与える可能性を考慮することも重要です。

そのため、出産後、体調が安定してからインプラント治療を開始することが推奨されます。

歯並びや噛み合わせの問題

歯並びや噛み合わせに問題がある場合、インプラントを適切な位置に埋め込むことが難しくなるケースがあります。また、噛み合わせの不具合は、インプラントに過度な力がかかり、寿命を短くする原因となることもあります。

このような場合、事前に歯列矯正などで歯並びや噛み合わせを改善し、口腔環境を整えることが重要です。

麻酔に対するアレルギーや過敏症

インプラント手術では、局所麻酔を使用するのが一般的です。

しかし、麻酔薬に対するアレルギーや過敏症がある方は、麻酔の使用が制限されるため、手術が難しくなることがあります。その場合は、歯科医師と相談し、他の治療法を検討することが必要です。

定期的なメンテナンスが難しい場合

インプラント治療後は、定期的なメンテナンスが欠かせません。メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルが発生し、インプラントの寿命を縮める原因となります。

通院が困難な場合や、メンテナンスを継続することが難しい場合は、インプラント治療を慎重に検討する必要があります。

インプラント治療ができないときの選択肢

インプラント治療ができない時の方法の1つである入れ歯のイメージ

インプラント治療ができないときの選択肢は、以下のとおりです。

ブリッジ

ブリッジは、欠損した歯の両隣の歯を支台として、人工歯を橋渡しする治療法です。例えば、1本の歯を失った場合、両隣の健康な歯を削って支台とし、3本が連結した被せ物を装着します。これにより、欠損部の噛み合わせの力が両隣の歯に分散され、機能を回復します。

ただし、支台となる歯に負担がかかるため、3本以上の連続した欠損には適さない場合があります。また、支台歯が健康であることが前提となります。

部分入れ歯

部分入れ歯は、失った歯の部分に義歯を装着し、残存する歯に金属製のクラスプ(留め具)をかけて固定する治療法です。保険診療で作成することができ、費用を抑えられます。

しかし、クラスプをかけた歯に負担がかかることや、清掃が難しくなる点に注意が必要です。また、異物感を感じることがあるため、装着に慣れるまで時間がかかる場合があります。

まとめ

歯周病を治療後にインプラント治療をして笑顔の男女

歯周病が残ったままインプラントを行うと、インプラント周囲炎や骨量不足、成功率低下といったトラブルが増えます。そのため、まず歯周病治療を完了させ、骨の状態を精密検査してから治療を検討してください。

日々のブラッシングと歯科クリニックでの定期メンテナンスを続けることで、インプラントを長期にわたって安定させられます。もしインプラントが難しい場合は、ブリッジや部分入れ歯などの選択肢を歯科医師と相談しながら決めましょう。

インプラント治療を検討されている方は、長崎県諫早市にある歯医者「諫早ふじた歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。

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長崎県諫早市多良見町中里129-14

医療法人 夢昂会 諫早ふじた歯科・矯正歯科

電話番号 0957-43-2212

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