2023/07/04

虫歯菌の殺菌

■虫歯は虫歯菌を殺菌すれば治せる?

長崎県諫早市の歯医者  「諫早ふじた歯科・矯正歯科」理事長の藤田です

歯科診療で使用する器具は、基本的に殺菌および滅菌処理が施されます。高熱や高温下に晒すことで、虫歯菌を死滅させることができるからです。そのため、診療で使う器具で感染するリスクはゼロとなっています。そう考えると、虫歯も殺菌処理を施してしまえば、歯を削らずとも治せそうなものですよね。

 

▼お口の中を完全に殺菌することは不可能です

 

確かに、虫歯に対して強い殺菌効果を持つ薬剤などを作用させれば、虫歯菌を殺すことはできますが、残念ながら周りの組織まで大きなダメージを負ってしまいます。もちろん、局所的に作用させることで最大限の効果は得られますが、現状、それは可能となっていません。ただ、一部の殺菌効果のある薬剤は、臨床の現場でも広く活用されていますが、軽度の虫歯にしか使えないのが現実です。

 

▼初期の虫歯なら殺菌も必要ありません

 

発生して間もない初期の虫歯であれば、薬剤によって殺菌する必要もありません。歯の内部で「表層下脱灰(ひょうそうかだっかい)」という、歯質が溶ける現象が始まっていますが、フッ化物で再石灰化を促進することでその進行を止められます。磨き残しが多い状態が続いてしまうと、再び虫歯菌の活動が始まり、やがては歯の表面に穴が空いてしまいますのでご注意ください。

 

▼お口の中の細菌はゼロにできない

 

虫歯菌や歯周病菌といった口腔内細菌は、一度お口の中に住み着くと、一生涯ゼロにすることは不可能となります。胃がんのリスクとなるピロリ菌のように除菌できれば良いのですが、そう上手くはいきません。ですから、虫歯菌を殺菌や滅菌でゼロにしようとするのではなく、病原性を発揮しない程度に抑え込むことが重要となります。

 

▼歯磨きをしなくても虫歯にならない人は?

 

世の中には、歯磨きをあまりしていなくても虫歯にならない人がいますよね。それはお口の中の虫歯菌を殺菌したのではなく、もともと口腔内に生息している細菌の数が極端に少ないのです。それは乳幼児期に虫歯菌への感染を免れたためと推測できます。

 

◎感染の窓が開く時期をご存知ですか?

 

1歳半から2歳半にかけての1年間は「感染の窓」が開く時期と言われています。この時期は乳歯の萌出が相次いで起こり、歯並び・噛み合わせが安定せず、汚れがたまりやすくなります。そこで虫歯菌への初めての感染が成立するのです。この時期に虫歯菌への感染が起こらず、歯並び・噛み合わせも安定すると、それ以降、虫歯菌への感染リスクが大きく減少することがわかっています。厳密には6歳臼歯や12歳臼歯が生えてくるタイミングもまた虫歯リスクが上昇するのですが、最も重要なのはやはり1歳半から2歳半の約1年間といえます。

 

▼虫歯菌を殺菌する治療法について

 

歯科の治療では、薬剤を用いて虫歯菌を殺菌する方法があります。保険診療とはなっていないため、ご存知ない方も多いかと思いますが、一部の限られた症例においては、相応の結果が得られることがわかっています。具体的には、極めて軽度な虫歯です。ただ、そうしたケースでも殺菌作用が期待できる薬剤だけで虫歯を完治させることは難しく、少なからず歯を削る必要が出てきます。ですから現状、虫歯を一切削らず、殺菌によって治すことは不可能と言わざるを得ません。将来的にそうした治療が開発される可能性はあります。

 

▼まとめ

このように、お口の中の虫歯菌は薬剤や熱処理によって殺菌することは難しいため、セルフケアを地道に頑張っていきましょう。それでも虫歯になってしまった場合は、歯医者での虫歯治療が必須となります。i諫早ふじた歯科・矯正歯科までご連絡いただければ、できるだけ削らない虫歯治療を実施いたします。

長崎県諫早市多良見町中里129-14

医療法人 夢昂会 諫早ふじた歯科・矯正歯科