シンプラントシュミレーションの必要性
諫早ふじた歯科・矯正歯科ではCT撮影をし、なおかつSimPlant Pro(シンプラント プロ)というソフトでインプラントシュミレーションを行って診断しています。 なぜなら安心安全なインプラントオペのためには必要だからです。 真剣にインプラント治療に取り組んでいる歯科医院では、画像診断にはCT撮影を行うはずです。CT撮影をせずに、歯科用レントゲンだけに頼った安易な診査・診断はとても危険なことなのです。また、CT撮影だけでなくもう一歩先に進んだ、CTシュミレーションの必要性をここに述べます。 CTスキャンとインプラント手術シュミレーションソフトによる診断 全ての症例でCT撮影なのか?と質問される方がいます。確かにもっともですね。 全ての症例でCTが必要とは言い切れません。CT撮影をしないで済む簡単なケースもあるかもしれません。しかし、簡単かどうかはCTを撮影しないと分かりませんよね。CT撮影をする事で、理想的な診査・診断ができるので、インプラントの手術の成功のためにはCT撮影が不可欠だと私は思います。 ただ、ここで注意して欲しいことは、CTを撮影しても、そこから得られる情報はただの顎骨の断面像のみなのです。実際はそれだけではインプラントオペには不十分といえます。 インプラントにおけるCT撮影に関して重要な事は、 インプラント画像診断後、インプラント手術シュミレーションをしっかり行っているかどうかなのです。 つまり、『インプラント手術シュミレーションソフト』を使用して、実際のオペに前に、インプラントオペを事前にシュミレーションしているかどうかが重要なのです。 (シュミレーションソフトで3D画像を作成し、顎骨の詳細をも分かります。) 画像をクリックすると拡大表示になります。 「上のように、3D画像のなかで、実際にインプラントを入れてみる。そしてそれが下顎神経から十分離れているか、安全な手術なのかを判断する。そしてその後人工の歯を作ってみて、きちんと良く噛める歯ができるかどうかをバーチャルで調べてみるのです。」 コンピューター上で、インプラントを埋入し、その上にバーチャルな歯を作ってみる。 そういうシュミレーションが大切となってくるのです。 CTを撮影しても、パソコン上でインプラント手術のシュミレーションが出来なければ、意味がありません ・CT機器を持っていてもシュミレーションソフトを使わないなら意味が無い インプラント手術シュミレーションソフト:SimPlant Pro(シンプラント プロ)とは? SimPlant Proのメイン画面です。(インプラント手術シュミレーションソフト) SimPlant(シンプラント)とは、インプラント治療における診査診断とインプラント手術のシミュレーションの為のソフトです。 歯科用レントゲンだけで、「インプラント手術に支障なし」と判断したが、いざ手術が始まってみたら、骨の形態や骨質が予想とは違っていたという事があります。 CTを撮らない歯科医院では、術前診断の甘さから、手術中止という事も多々あります。 諫早ふじた歯科・矯正歯科では、Simplant Pro クリスタルを使って、十分な情報を得てから手術に望みます。CTのデータをパソコンで解析し、アーティファクト(かぶせ物などの金属の影)を除去し、顎骨の中にある神経をオレンジ色にはっきりと際だたせ、実物の顎をPC上に再現いたします。 SimPlant(シンプラント)PROではCT撮影のデータ再構築をし、骨の断面画像や3D画像により、多角的に距離測定や骨密度測定など各種測定や、インプラント埋入シミュレーションができます。 まず、顎骨の形態と骨質を解析。咬合や歯列、歯槽骨の断面画像をあらゆる方向見ながら、精密で確実な情報を把握します。骨のみならず、顎骨の中にある神経の状況を立体的に把握し、実際のインプラント手術をパソコン上で再現し、インプラント後の上部構造物まで含めて、審美面と機能面の両方向からの回復をシミュレーションします。 これらにより、綿密な治療計画が立案できます。こうすることで私たち術者のみならず、患者さんにとって安心・納得した上でインプラント手術に臨むことができるのです。 諫早ふじた歯科・矯正歯科では、インプラント手術の前に、このSimPlant(シンプラント)PRO(プロ)での治療計画立案と患者説明を行っております。 インプラント治療には、骨質(骨密度)の情報が非常に大切なのです。
骨質把握の重要性
医科用高性能CTで骨質(骨密度)を知っておくとどういう利点があるのでしょうか? 例えば、下顎の奥歯にインプラントを入れる場合です。上の写真の青い線の部位にインプラントを入れていきます。 下顎の骨の中には、「下歯槽神経」といわれる神経や血管が通っています。 当然、この神経を傷つけてはいけません。 その為に、顎骨の頂点から神経までの距離を正確に知っておく事は大切なのですが、 実は、もう一つの大切な情報が『骨質』(骨密度)なのです。 ここでは、手術の前にあらかじめ骨質を知っておくと、何が良いのかを理解できます。 昔、長いインプラントの方が良いと言われていた時代もありました。今でもそう信じている方も多いです。それはただ長いほうがインプラントと骨の接触している面積が広くなるからという理由です。でも長ければ長いほどいいかというと、長いインプラントは、下歯槽神経を傷つけるリスクが高まります。 下顎奥歯のインプラントは、長いインプラントか? 少し短いインプラントが良いか? 安全性が第一ですが、もう一つ、大切なのはインプラントの長さでなく、 そのインプラントが、いかに骨質の良い骨に支持されているかという事なのです。 では、どの長さが良いのか?一概には言えません。それは、その人によって、その顎の状態によって変わるからです。 CTを撮影し、SimPlantで解析すれば、それが分かります。 SimPlant Proで顎骨の断面画像を精査すれば、顎骨のサイズや骨質から判断できます。 左が、下顎の骨です。(クリックで拡大表示になります) 楕円形の白い部分は、インプラントを入れたい部分の顎骨の断面画像です。 顎の中を通る神経の断面はオレンジ色に染めています。 顎骨の周りのグレーは肉の組織で、左下の黒い部分は、顎の外の空気です。 13mmの長いインプラントのシュミレーションです。 インプラントの下の部分は、ギリギリ神経を傷つけてはいません。でも少しの誤差があったらどうなる?というような、ひやひやする手術ですね。でも果たして、こんな危険な手術をこなす歯科医師がすばらしいと言えるのでしょうか? これは10mmの短いインプラントのシュミレーションです。 インプラントの下の部分は、神経と十分な距離があります。 さらに奥まで入りそうですが・・・ よく調べてみましょう! インプラントの適切な長さを決める為に、骨質(HU値)を調べてみましょう。 (HU値は、骨の硬さ(骨質)の診断に使われます。) ここでは、画像中の“Mean”という数字を見て下さい。それがHU値です。 “Mean”(HU値 )が大きいところにインプラントが埋まれば、インプラントは、より安定するとお考え下さい。 顎骨の断面画像の左側、黄色い〇に囲まれた部分の骨の硬さ(HU値)は、1248です。 1000HUを超える骨は、非常に硬い骨です。 さて次に、この下のSimPlant画像では、インプラントを埋めたい部分の骨を見てみます。 ↓ インプラントが埋まる予定のところの円内の面積と、骨質を調べてみましょう。 インプラントを埋める為のドリルを最初に当てる部分は796HUという値です。 これで、ドリル使用時の感触はホワイトパイン材程度、硬さは、10段階評価で7の骨強度で、インプラントを埋める骨としては合格です。 分類上D2からD3で、皮質骨と骨梁の粗な海綿骨が歯槽頂に層を形成している状態という事がわかります。 写真のオレンジに染めた神経の上の部分は、もし13mmのインプラントを埋めるとしたら、インプラントの先端がくるところです。 242HUという数字は,かなり柔らかい骨ということをあらわしています。 大部分が骨梁の細い海綿骨で、ドリル使用時の感触は発砲スチロールです 。 右下の、骨の外の肉(筋肉付近)のHU値は64HUです。ちなみに“水”のHU値は0HU(ゼロ)です。脂肪組織は、マイナスの値になります。 ここで重要なのは、インプラントの長さでなく、そのインプラントが、いかに骨質の良い骨に支持されているかという事です。CT撮影し、SimPlant Proという画像診断ソフトで診査、診断し、インプラント手術シュミレーションをしてから、それを踏まえた上で、実際の手術を行ったほうが良いという事が理解できると思います。 さらに、インプラント周囲の骨の硬さもシュミレーションすると・・・ ドリルが何ミリの深さまで抵抗がある事や急に抵抗がなくなる事等が分かります。 上の写真は、インプラントを埋める骨頂上から神経に向かって骨質を調べています。すると 骨頂から10ミリのところから急激に骨が柔らかくなることがわかります。13ミリのところは、もはや骨密度としては不適格なD4にも及びません。 下は10ミリのインプラントを入れた場合のインプラント周囲の骨質です。 インプラント周囲の骨の硬さの平均は、569HUです。 短いインプラント(10mm)の場合は、ちょうど10mm付近で急に抵抗が無くなる事が、あらかじめ分かります。術前にこの情報があるので、ドリルを9mm程進めたところで、骨は、急に柔らかくなるので、必要以上に突き抜けないように細心の注意を払うという準備が出来ます。 事前の情報が無ければ、神経損傷のリスクもあるかも知れません。 今度は、もし長い13ミリのインプラントを入れたら・・・というシュミレーションです。 インプラント周囲の骨の硬さの平均は、463です。短いインプラントより、HU値の数字が減っています。骨のないところにインプラントが入っているので、平均値が下がるのです。 これで、インプラントの長さが、長ければ良いとは言えない理由が分かりましたね。 長いインプラント(13mm)の場合は、10mm付近以降は、インプラントを支える役目を持った骨が無い事が分かります。また、抵抗の無いまま、神経に向かってドリルが進む心配があります。つまり、リスク(危険度)はある。しかし、リスクを犯した割には利点が無い事が分かります。 このケースでは、10mm以上の長さのインプラントを入れない方が良いという事がわかりました。これは、CTを撮って、SimPlant Proでインプラント診断をしたからこそ分かる情報なのです。歯科用レントゲンでは、分からない情報です。 SimPlant Proの診断のすばらしさをわかって頂けましたか? CT撮影からSimplant Proを使った説明までの手順を説明します 。 まず、治療がある程度進んだ段階でCTを撮影します。 諫早ふじた歯科・矯正歯科では高性能歯科用CT ファインキューブを導入しております。いつでも必要な時にCTを撮影することが可能です。歯科用高性能CT ファイインキューブは正確なCT値を出すことはできませんが、類似プロファイル値を表現することができますので上記の診査が理解できます。より安全な治療が期待できます。 当院の高性能歯科用CTファインキューブが素晴らしいのは、医科用のCTに比べ被ばく線量が極端に少ないことです。 医科用CTの10分の1の被ばく線量で済みますし、小さい歯科用フィルムの4枚分の量でしかありません。 安心してCT撮影を受けてください。 HU(CT値) ハンスフィールド値(HU)(CT値)によるMischの分類 D1:>1250HU D2:850~1250HU D3:350~850HU D4:<150HU D1 大部分が皮質骨 ドリル使用時の感触はカシ材またはカエデ材 10段階評価で9~10の骨強度 主に下顎前歯部にみられる D2 皮質骨と骨梁の粗な海綿骨が歯槽頂に厚い層を形成している ドリル使用時の感触はホワイトパイン材またはスプルース材 10段階評価で7~8の骨強度 下顎骨全体および上顎前歯部にみられる D3 歯槽頂部の皮質骨層が薄く、海綿骨骨梁が細い ドリル使用時の感触はバルサ材 10段階評価で3~4の骨強度(D2の50%程度) 主に下顎臼歯部または上顎にみられる D4 大部分が骨梁の細い海綿骨 ドリル使用時の感触は発砲スチロール 10段階評価で1~2の骨強度 主に上顎臼歯部にみられる 骨密度/骨質の分類 骨密度/骨質の分類 (Lekholm U,Zarb GA.1985) Ⅰ:顎骨の大部分が均質な緻密骨 Ⅱ:密度の高い海綿骨厚い緻密骨で覆われている Ⅲ:強度を備えた密度の高い海綿骨が薄い緻密骨で覆われている Ⅳ:密度の低い海綿骨が薄い緻密骨で覆われている 骨密度/骨質の分類 (Misch CE.1990) D1 大部分が皮質骨 ドリル使用時の感触はカシ材またはカエデ材 10段階評価で9~10の骨強度 主に下顎前歯部にみられる D2 皮質骨と骨梁の粗な海綿骨が歯槽頂に厚い層を形成している ドリル使用時の感触はホワイトパイン材またはスプルース材 10段階評価で7~8の骨強度 下顎骨全体および上顎前歯部にみられる D3 歯槽頂部の皮質骨層が薄く、海綿骨骨梁が細い ドリル使用時の感触はバルサ材 10段階評価で3~4の骨強度(D2の50%程度) 主に下顎臼歯部または上顎にみられる D4 大部分が骨梁の細い海綿骨 ドリル使用時の感触は発砲スチロール 10段階評価で1~2の骨強度 主に上顎臼歯部にみられる 骨密度/骨質の分類 ハンスフィールド値 (Misch CE.1999) ハンスフィールド値(HU)(CT値)によるMischの分類 D1:>250HU D2:850~1250HU D3:350~850HU D4:<150HU
インプラント手術で欠かせない血圧・心電図・酸素飽和度モニター
患者様の安心感の手助けに当院はインプラントや外科手術、無痛治療で麻酔(静脈内鎮静法)を行う際、生体モニターを使用しています。脈拍や血圧、酸素血中濃度などお体の状態を数値で判断することが出来るのです。 モニターを使用することにより、麻酔で脈がどれだけ変化しているのか、血圧がどれだけ変化しているのか、酸素血中濃度がどれくらいの数値を保っているかが一目でわかり、患者様の痛みの状態、麻酔がきれたかどうかを判断するのに役立ちます。 インプラント手術は、患者様の心身に掛かる負担は大きなものになります。血圧・心電図・酸素飽和度モニターは、インプラント手術に必要な機器です。 当院では長崎大学の歯科麻酔科に在籍する、全身管理と痛みの緩和のプロフェッショナルの専門麻酔医が、これらの機器を逐一モニターし、ストレスの緩和に努めます。患者様は「静脈鎮静法」という麻酔方法により、眠りに誘われるようなうたた寝の感覚で、手術に臨んで頂けるのです。
インプラントオペ時に使用する骨
当院ではインプラントオペ時に使用する骨は人工骨β-TCPを使用しております。 何故か? インプラント手術時、患者様の骨がたっぷり幅も高さもある場合を除き、骨が足りない場合があります。そういう場合に骨補填材を使用するのですが、この骨補填材にはいろいろなものがあります。 自家骨(患者自身の骨)、牛の骨、凍結脱灰乾燥骨(滅菌された他人の人骨)、人工骨などです。 自家骨が一番いいといわれる方もいらっしゃいますが、採取するために患者負担が大きく入院が必要だったり、大きく腫れたりします。 牛の骨は、狂牛病の問題もありますし、なかなか患者様もいやがられます。 まして、他人の骨など日本人の感覚では受け入れがたいと思います。 まず、私が患者だったら何を使用したいかと考えると、やはり人工骨です。当院ではまず自分が患者だったら何を選択するかを基準にしてその方法を患者様にお勧めします。 当院で使用している人工骨は、時間がたつと吸収していくβ-TCPです。商品名BioResorbといい、吸収性の顆粒物質で、高度な相互結合多孔性を有する純相β型第3リン酸カルシウムです。 少々専門的になりますが、カルシウムとリン酸の原子比は1.5であり、これは、天然骨の原子比1.6と類似しています。BioResorbはその特殊な焼結状態により、カルシウムとリン酸への物理的溶解と、細胞攻撃による人体に影響のない大きさへの分解が平行して進行し、合併症のない、円滑な生体吸収が達成されるという特性を持っているのです。 BioResorbの溶液は、主に組織液の成分(カルシウムイオン、リン酸イオン)になり、その生理学的分散は生体吸収過程の範囲内です。また大きな特徴として、新らたに骨ができるにつれて、BioResorbは分解されていきます。つまりBioResorbが吸収するにつれ、新生骨と同時にできてくるのです。すばらしいですね。 臨床成績も自家骨とβ-TCPを比べても差がないという結果が出ています。そしたらやはりβ-TCPの使用が第一選択と考えられます。これが当院で人工骨β-TCPを使用している理由です。
HAインプラントの優位性
現在日本で販売されているインプラントの種類は約30種類くらいです。本当に多いですね。でも、それを素材で分けると大きく二つに分けることができます。 1、チタンインプラント 2、HAインプラント(ハイドロキシ・アパタイト・インプラント) どちらも素材は「チタン」という金属ですが、2、はチタンの表面にHAを薄くコーティングしてあります。(このHAの純度が大事になってくるのですが、それはまた別に書きます。) HAインプラントの特徴は、A、骨伝導能力を持つこと。B、バイオインテグレーション作用を持つ、この二つが主なものです。 A、B、の特徴を利用して低侵襲、短期間治療が可能となります。 特に抜歯後即時埋入やサイナスリフトなどの治療でHAインプラントがより優位となります。 チタンインプラントとHAインプラントの違いは、材質的な違いもありますが、骨との結合の違いがあります。 チタンインプラントと骨の結合はオッセオインテグレーションと言い骨と機械的嵌合力で強固に接合しますが、実はインプラントと骨の境界面に隙間があります。 それに対してHAインプラントと骨とはカルシウムブリッジによって科学的に結合し隙間がありません。つまりより強固に早く生物学的に骨と接合するのです。これをバイオインテグレーションと言います。 ここでHA(ハイドロキシ・アパタイト)という言葉は初めて聞くという方も多いことでしょう。でも、人間の体、特にお口の中にはとても関係深い素材です。 実はわかりやすく言うとHAとは、人間の体を作る骨や歯などの成分です。得に歯は乾燥させると9割以上がHAからできていると言われます。 そのため、チタンインプラントよりも顎の骨との結合が早くなり、なおかつ親和性が非常に高いのです。ですから、この特性を理解した結果、これまでチタンインプラントを使用していた先生がHAインプラントに変更する人が急増しているのです。実は私も一時チタンインプラントを使用していた時期がありました。しかし、うまくいったと思った症例でも骨とうまく接合してなくて困ったこともあったのです。そのため、一時インプラントを全くやってない時期もありました。しかし、純度の高いHAインプラントと出合ってから私のインプラント人生が変わったのです。 顎の骨の高さが十分あり、なおかつインプラントを埋める骨の幅も十分にあれば、チタンインプラントでも十分対応できます。 しかし、「骨の横幅が狭くて足りない」「埋め込むための骨の高さが足りない」などという骨の量が少ない難症例の方への対応にはHAインプラントの方が断然適していて有利です。 何故なら、HA素材をコーティングしてあるので、骨との親和性が良く、より強固にそしてより早く接合する確率が非常に高いのです。 簡単に言うとHAインプラントは骨量に左右されない。骨の量が多くても少なくても関係ないということなのです。つまり、どんな患者さんにも対応できるのがHAインプラントの優れている点なのです。そういう理由で、当院ではHAの純度が最も高いアメリカZIMMER社のHAインプラントを使用しています。
高濃度ビタミンC点滴とインプラント
諫早ふじた歯科・矯正歯科ではインプラント治療において、高濃度ビタミンC点滴療法を取り入れ、患者様に良好な評価を得ています。 高濃度ビタミンC点滴療法ですが、歯科における効果・効能は以下のようなものがあります。1、インプラント治療などの外科治療後の治癒を促進する。2、歯周病予防・歯周病治療の一環として使用。3、歯肉粘膜組織の強化。4、歯肉やお口の周りの抗酸化、コラーゲン生成。5、美肌・美白効果。6、疲労回復・免疫力の向上。7、ガン治療、ガン予防。 8、全身のエイジングケア(アンチエイジング) そもそも高濃度ビタミンC点滴療法は、2度ノーベル賞を受賞したライナス・ポーリング博士(米国)とE・キャメロン外科医(スコットランド)が「末期進行がんの患者に点滴とサプリメントでビタミンCを大量投与したところ、対照群の4倍から6倍に延命効果が得られた」と発表したことに始まります。 ビタミンC濃度が高くなるとガン細胞は死んでしまうが、正常細胞は全く影響を受けないといわれています。どのくらいの濃度になるとガン細胞が死ぬかというと350mg/dl~400mg/dlの血中濃度だそうです。この治療濃度を獲得するためには一度の点滴で個人差はありますが、62.5g~75gが必要となります。 ビタミンCと聞くと、すぐにレモンを思い浮かべることと思います。レモン1個にどのくらいのビタミンCが入っているのかというと、レモン果実1個当たり「20mg」入っています。 高濃度ビタミンC点滴療法は高容量のビタミンC(12.5~100g)先ほどレモン1個当たり20mgですから625個~5000個分を静脈から点滴していきます。 なぜ点滴?服用ではだめなの?と疑問に思われると思います。健康食品やサプリメントでいっぱい存在しますからね。でも経口摂取ではほとんどが吸収されず体外に排出されてしまうのです。次ページにデータがあるので見てほしいのですが、60mgまではほぼ100%吸収されます。しかし3gになると3割くらいしか吸収せず、12gとなると16%で吸収されるのは約2gとなります。このように経口摂取量が増えるにつれて尿中排泄の割合が増えていきます。そのためサプリメントで大量に飲んでも治療効果は薄いのです。 一方、高濃度ビタミンC点滴は、血中ビタミンC濃度を経口摂取では達成できない濃度にまで一気に高めることができるのです。経口摂取の限界を超え、ガン治療から様々な病気の予防まで期待ができます。
摂取量 | 体内への吸収量 | 吸収率 | 尿中への排泄量 | 排泄率 |
~60mg | ~60mg | 100% | 0mg | 0% |
100mg | 80~90mg | 80~90% | 10-20mg | 10-20% |
1,000mg | 750mg | 75% | 250mg | 25% |
2,000mg | 880mg | 44% | 1,120mg | 56% |
3,000mg | 1,172mg | 39% | 1,828mg | 61% |
4,000mg | 1,099mg | 28% | 2,901mg | 72% |
6,000mg | 1,560mg | 26% | 4,440mg | 74% |
12,000mg | 1,920mg | 16% | 10,100mg | 84% |
このように、素晴らしい効果をもたらす高濃度ビタミンC点滴療法を、インプラント治療の使用することにより、免疫力を高めたり、コラーゲンの合成促進などの多くの効果があります。「痛くない、腫れない、治りが早い、インプラント治療」が可能となるのです。
インプラント周囲炎
本来自分自身の歯の周りの歯ぐきが炎症を起し歯周病になるように、インプラントの周りが炎症を起すことをインプラント周囲炎といいます。インプラント治療をする限り、これは絶対にならないとは言えないし最近増えてきている病気です。インプラント治療後に発生率が最も高いのがインプラント周囲炎。初期の病変は見逃されがちです。しかし、適切な診断、適切な治療計画とリスク因子排除により避けることができます。 軽度であれば、歯周病と同等にインプラント周囲の適切なブラッシングで改善しますし、光殺菌を用いて周囲の菌を死滅させることも効果があります 但しインプラント周囲の骨が吸収した重度の場合は、それだけでは治りません。歯肉を開いて直接悪い部を清掃する外科処置が必要です。こうなかなか文章ではわかりにくいかもしれませんが、 1、変性した歯茎(不良肉芽)を除去 2、スケーラーなどでインプラントの周りに付着している汚染物質を除去。 3、その後β―パウダーを吹き付け(エアーブレーション)を行う 4、メチレンブルーによる光殺菌を行います。 これで汚染物質が除染されたこととなります。 その後、骨が溶けていた部分に人工骨を充填し、特殊な吸収性の膜(メンブレン)を覆って歯肉を縫合していきます。重度の場合はこれでやっとインプラント周囲炎の処置が終わります。 インプラント周囲炎の治療法で一番重要なのは、なるべく早期に発見し早期治療をする事です。早ければ早いほど簡単に安く治療することができます。骨の吸収を伴った重度の場合でも、その状態に見合った処置を施すことが大切となります。
上顎洞拳上手術を伴ったインプラント治療について
上顎洞拳上手術を伴ったインプラント治療について 上顎の奥歯を失くして時間が経過した患者さんがインプラント治療を希望された場合、十分な骨量が無い場合が多いようです。 解剖学的に上顎の奥歯の骨の上には、副鼻腔があります。本来なら自分の歯の根っこが埋まっているのですから根の長さ分の骨はあるはずです。 しかし、歯周病で根の周囲が溶けていた場合や、歯を抜いてから長い期間が経過した場合の骨が吸収してしまい。時には副鼻腔との間が1~2ミリという場合もあります。 インプラントは骨の中に埋入するのですから、骨が無ければ入れられません。そういう場合は副鼻腔の方にアプローチしてインプラントをいれる骨を作ります。 これを上顎洞拳上手術といい、頬側からする方法(サイナスリフト)と、歯槽頂側(ソケットリフト)からする方法があります。 サイナスリフト 一般的にはサイナスリフトは残存する骨が5ミリ以下の場合で、ソケットリフトは5ミリ以上残っている場合に行います。 共に難しいのは、副鼻腔粘膜と言って健康な状態ならサランラップ1枚くらいの薄い粘膜を破かないようにはがして、骨とその膜の間に移植骨(自家骨、人工骨)を入れ、インプラントをいれる空間を確保することです。 一般的に骨量が少ない場合のラテラルアプローチが手術も難しく、患者さんの負担も大きいものですが、実際に目で見ながら進めることができますのでより確実な方法といえます。それに対してクレスタルアプローチは患者さんの負担は小さいですが、直接目で見えないので手探りでやる盲目的な治療となります。 副鼻腔は含気空洞ですから、常に圧迫されていますので、移植骨を入れてもだんだん圧縮されてきます。ですから少し多めの骨を入れる必要があります。 手術後2次手術までしばらく待ちますが、通常の骨の量が十分で、ドリルして埋入した場合に比べて少なくとも1か月は余計に待つこととなります。ですから4~5か月は待つと思っていただいて結構です。 骨が無くてあきらめている方はどうぞ気楽に相談してください。きっと、今まで歯が無くて食事に困っていたり、義歯で不自由にされていたことが解決され食生活が変わり、それに伴い人生が変わることとなるでしょう。
インプラントとナイトガード
インプラント治療とその予後を左右する歯ぎしり、食いしばりについて 歯が無くして困っていらした患者さんが、歯科インプラント治療を受けて、良く咬めるようになりました。これで、めでたしめでたしかというとそうではありません。私が患者さんに良く言うのは、治療が終わった時が一番良い状態だということです。車で例えれば新車を納車した状態、家でいえば新築したばかりの状態ですね。 最初は新しくても、その後その状態を維持するための努力をしないと、だんだん状態は悪くなっていきます。新車だった車は、洗わないと汚くなるでしょうし、」メンテナンスをしないと機能的に何かが悪くなった時に気づきません。家も毎日掃除しないとすぐに新鮮さはなくなっていきます。 インプラントをしたお口の中も、まめなクリーニングと定期的な機能的なチェックが必要となりますので、諫早ふじた歯科・矯正歯科では定期的なメンテナンスと、かみ合わせなどの定期的チェックを患者さんに勧めています。 ところで、インプラントや、残ったご自分の歯にとって、最も影響を及ぼすのが、寝ている間の食いしばりや、歯ぎしりということをご存知ではない方が多いは事実です。特に横揺れに対する抵抗力が弱いのです。 長崎県諫早市でそういうことを患者さんにお話ししている歯科が少ないかせいかもしれません。 自分の歯なら、歯根と骨の間に歯根膜というクッションのようなものがあって、少しの横揺れには抵抗できますが、インプラントにはそういうクッションはないので、影響力は非常に大きいのです。 そういう為害作用から守ってくれるのが、『ナイトガード』と呼ばれる夜 寝てる間に使用するマウスピースのようなものです。ボクシングで使用するような熱いものではなく、薄いものですから違和感はあまりなく使用できます。 当院で使用するマテリアルは、歯とくっつく面が柔らかく、対顎と当る部分が固いという2層構造になっているもので、フットが良く、摩耗にも強いという特徴を持っています。 『ナイトガード』は、歯ぎしりや、食いしばりから口腔内を守ってくれます。インプラントをしてない方にも作成することもできますので、気になる方がおられたら相談してください
インプラントと保険
インプラント治療は通常健康保険は適用されません。 しかし平成24年度の保険改定で病気や事故によって広範囲、多数歯にわたって顎の骨を失くした場合に、 国が定めた条件を満たせばインプラント義歯治療が認められるようになりました。 この保険で認められる義歯の正式名称が「広範囲顎骨支持型補綴」という耳慣れないものです。 但し、この国の定める条件というのが非常に厳しいというのが現状です。 通常の、虫歯や歯周病などが原因で歯を失くした場合は、ほとんど自費治療になります。 どのくらい厳しいかというと、保険が認められる場合を説明します。 1、腫瘍や骨髄炎などの病気や、事故の外傷によって広範囲にわたり顎の骨を失くしてしまった場合 2、生まれつきに顎の骨の1/3以上がない場合 3、顎の骨が形成不全を起こしている場合 などです。ですから私ども一般の開業医が普段、診療しているような場合ではありません。 一般的にそれができる医療機関は、長崎県でいえば長崎大学病院くらいだと思います。 ただ、保険が効くインプラント治療が受けられるかどうかの相談は、一般の歯科医院でもできますので遠慮せず相談してください。 ところで、インプラント治療を他院さんで行った後、残っていた自分の歯を何らかの原因で失くした後、その部に義歯を希望される場合があります。 義歯はバネを残存歯にかけていくのですが、そのばねがインプラントにかかる場合は、以前は、保険適用にはなりませんでした。 ところが、平成26年度の保険改定で、以下のような解釈が出ました。 (平成26年4月以降で適用となりました) 保険外治療で行われているインプラント治療完結後に、有床義歯を装着する場合、他の方法では咬合機能の回復・改善が達成できず、やむを得ず歯科インプラントを鉤歯とする部分入れ歯の装着に関して、インプラント治療を完結後に一定期間経過した場合の補綴治療については保険治療として取り扱って差し支えない。 但し、カルテに保険治療への移行や、当該部位の自費治療が完結している旨を記載しないといけません。あくまで、インプラント治療が終了し、ある程度の期間が経過しないと保険としては認めてもらえないということです。当たり前といえば当たり前の解釈だと思います。 これまで、インプラントにバネがかかる場合、自費治療となる旨を患者さんに説明し、なかなか理解していただけなかったのですが、これから説明しやすくなるし、患者さんにとっても良い話だと思います。