2022/11/08

インプラントと歯周病

諫早市の歯医者 藤田です。「諫早ふじた歯科・矯正歯科」の理事長です。

世界的に普及したインプラントは当然日本でも広く普及していて、周りを見渡してインプラント治療された方は簡単に見つかると思います。ただ現在 インプラントと歯周病の関係が広く周知されてきています。

 

■インプラントと歯周病の関係について

 

歯周病は、歯が存在していなければ発症することはありません。実際、無歯顎(むしがく)と呼ばれる、すべての歯を失った人は、歯周病のリスクがほぼゼロになるのです。そこで気になるのが人工物であるインプラントですね。インプラントは歯根から歯冠まで、すべて人工物で構成されていますが、歯周病のリスクは天然歯よりも高くなっています。

 

▼「インプラント周囲炎」に要注意

 

インプラント周囲炎という病気があるように、インプラントは歯周病にかかります。しかも、顎の骨と歯根との間に「歯根膜(しこんまく)」が存在していないことから、歯周病リスクが天然歯より高く、進行も早くなっているのです。ちなみに、人工歯根と上部構造の境界当たりは汚れがたまりやすく、歯周病リスクを増大させる主な要因となっています。

 

◎歯根膜がないと歯周病にかかりやすいのはなぜ?

 

歯根膜には血管が分布しており、栄養素や酸素、免疫細胞などを周囲組織へと供給するという重要な役割を果たしています。天然の歯にはその歯根膜が存在していることから、歯茎や顎の骨の健康状態を良好に保ちやすくなっているのですが、インプラントにはそれがありません。ですから、インプラントの周囲に歯垢や歯石、食べカスなどがたまると、細菌の温床となるだけでなく、周囲組織への攻撃も強まる傾向にあるのです。具体的には、細菌を退治する免疫細胞の働きが悪いことから、歯周病を発症しやすく、進行を早めることにもなります。

 

▼「インプラント周囲粘膜炎」との違い

 

インプラントの歯周疾患には、もうひとつ「インプラント周囲粘膜炎」というものがあります。これは文字通りインプラントの周りの粘膜に炎症反応が生じる病気で、一般的な歯周病における歯肉炎(しにくえん)に当たります。つまり、歯周炎に当たるインプラント周囲炎よりも比較的程度が軽い歯周疾患であり、その段階であればまだ完治させるのも難しくありません。そのまま放置すると顎の骨にまで炎症が広がり、いよいよ後戻りのできない病態へと発展していってしまうのです。

 

▼歯周病を予防することでインプラントの寿命が延びる?

 

インプラントの寿命は比較的長いのですが、いくつかの理由で脱落することがあります。主たる原因は歯周病です。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも治療が難しく、顎の骨の破壊もどんどん進んでいきます。その結果、チタン製の人工歯根を支えきれなくなり、顎から脱落してしまうのです。そういう意味で、インプラントを長持ちさせたいのであれば、歯周病予防に努めることが重要です。インプラントの周囲の汚れは、セルフケアだけできれいに取り除くことは難しいため、プロフェッショナルケアでしっかり除去してもらいましょう。

 

▼歯周病にかかっているとインプラントできない?

 

ひと言で歯周病といっても、ケースよって重症度が大きく異なります。軽度から中等度の歯周病であれば、症状を安定化させることでインプラント治療が可能になりますが、重度の歯周病では人工歯根の埋入手術が困難となります。ですから、インプラント治療を検討中の方は、まず歯周病を改善、あるいは予防することから始めましょう。

 

▼まとめ

 

このように、インプラントと歯周病には密接な関係が認められます。インプラントは虫歯になりませんが、歯周病リスクは天然歯よりも高いということをしっかり頭に入れておきましょう。天然歯と同様のケアをしていては、いつインプラント周囲炎になってもおかしくありません。諫早ふじた歯科・矯正歯科ならインプラント治療後のメンテナンス・定期検診も丁寧に行っておりますので、歯周病リスクも限りなくゼロに近付けることができますよ。

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