目次
インプラントって、何本まで入れられるの?
本数の限界と「本当に大切な考え方」をやさしくお話しします
はじめに
「インプラントって、何本まで入れられるんですか?」
これは、インプラント治療を考えている患者さんから、とてもよくいただく質問です。
歯を1本失った方だけでなく、
「何本も歯がないけど、全部インプラントにできるのかな?」
「総入れ歯が合わなくて…全部インプラントにしたい」
こんなご相談も、実はとても多いんです。
この記事では、
インプラントって、最大で何本まで可能なの?
実際の治療では、何本くらいが一般的?
本数よりも、もっと大切なことって?
こうした疑問に、歯科医師の立場からわかりやすくお答えしていきますね。

インプラントは理論上「何本まで」できるの?
まず結論からお伝えすると、
理論上は、永久歯の本数ぶん全部をインプラントにすることができます。
永久歯は、親知らずを除くと上下あわせて28本。
つまり、条件が整えば28本すべてをインプラントに置き換えること自体は、可能なんです。
ただし、これはあくまで「理論上」のお話。
実際の治療では、28本すべてにインプラントを入れるケースは、ほとんどありません。
なぜ「全部インプラント」は現実的じゃないことが多いの?
① あごの骨には限界がある
インプラントは、あごの骨の中に人工の歯の根っこを埋め込む治療です。そのため、十分な骨の量と質が必要になります。
歯を失ってから時間が経つと、
骨が痩せてくる
高さや幅が足りなくなる
こんな変化が起こってきます。
すべての歯の位置にインプラントを入れようとすると、大がかりな骨を作る治療(骨造成)が必要になることも。そうなると、お身体への負担がとても大きくなってしまうんです。
② 治療期間や手術回数が増える
インプラントの本数が増えれば増えるほど、
手術時間が長くなる
手術回数が増える
治療期間も延びる
こうしたデメリットが出てきます。
特に全体的な治療になると、患者さんの体力や、日常生活への影響も考えなくてはいけません。
③ 費用の負担がとても大きくなる
インプラントは、保険がきかない自費診療です。本数が増えれば、その分費用もどんどん増えていきます。
「全部インプラントにしたい」というお気持ちがあっても、費用と効果のバランスを考えると、必ずしも最善とは言えないケースも多いんです。
🦷 実際によく行われるインプラントの本数って?
| 失った歯の本数 | 一般的なインプラント本数 | 治療のポイント |
| 1〜2本 | 失った本数と同数 (1〜2本) | 周りの健康な歯を削らずに済みます。 |
| 複数本(部分的な欠損) | 欠損部全体で 1〜2本 | インプラントを土台にブリッジのような構造を作ることが多いです。 |
| ほとんどの歯を失っている | 片あご 最低6本 | 少ない本数で、上部構造(人工の歯)全体を支えます。 |
💡 少ない本数で全体を支える 「All-on-6(オールオン6)」
ほとんどの歯を失っている方には、片あご最低6本のインプラントで、お口全体の歯を支える治療を推奨しています。
これは、インプラントを最低6本埋入することで、より強固で安定した土台を作り、上部構造(人工の歯)全体にかかる噛む力を効率よく分散させる方法です。
当院では、長期間にわたり快適に、安心してお使いいただくために、本数を増やした**「オールオン6(All-on-6)」を治療の選択肢としてご提案することが多いです。上下両方を治療する場合でも、合計最低12本程度**で、安定してしっかり噛めるようになることが多いんですよ。
⚠️ 「本数が多い=よく噛める」じゃないんです
ここで、患者さんにとって、とても大切なポイントがあります。
それは、
インプラントは、本数が多ければいいってものじゃない
ということです。
本数を増やせば、費用や手術の負担、将来のメンテナンスの手間も増えてしまいます。最も大切なのは、「少数精鋭」で、効率よく噛む力を分散させる治療全体の設計力です。
どこの位置に入れるか(力の中心となる**『主要な支持点』**の確保)
どんな角度で埋め込むか
噛み合わせとのバランスはどうか
かぶせもの(上の歯)の設計はどうするか
こうした治療全体の設計が適切であれば、少ない本数でも、
見た目
噛み心地
長持ち具合
どれをとっても満足できる結果が得られます。むしろ、無理に本数を増やさない方が、メンテナンスがしやすく、長期間安定しやすいというメリットもあるんですよ。
インプラントの本数って、どうやって決まるの?
ぴったりな本数は、こんな要素を総合的に見て決めていきます。
CT検査で見た骨の量や質
噛み合わせの状態
年齢や全身の健康状態
治療期間についてのご希望
費用面でのご希望
だからこそ、
「何本入れられるか」よりも「何本が最適か」
を考えることが、すごく重要なんです。
まとめ|インプラントは「本数」より「長く使えるか」
理論上は最大28本まで可能
実際は**片あご最低6本(オールオン6など)**で全体を支える治療が主流
無理に本数を増やす必要はない
大切なのは、将来まで見据えた治療設計
インプラント治療は、「入れること」がゴールじゃありません。
10年後、20年後も、ずっと快適に噛めること。それが本当のゴールなんです。
ご相談はお気軽に

結局のところ、インプラント治療は「総入れ歯のような状態から、ご自身の歯があった頃のような快適さを取り戻す」ためのものです。
「自分の場合、何本必要なのか知りたい」
「総入れ歯とインプラント、どっちがいいのか迷ってる」
そんな方は、まずは精密検査とカウンセリングを受けていただくことで、最適な選択肢が見えてきます。
どうぞお気軽にご相談くださいね。
諫早ふじた歯科・矯正歯科 院長 藤田浩一
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あなたにとって、一番いい方法を一緒に見つけていきましょう。

