2022/02/11

骨粗鬆症と歯科治療について

骨粗鬆症とは

 骨粗鬆症とは、骨密度が低下したり骨そのものが劣化したりして骨折のリスクが高くなる病気です。特に高齢者では足腰の骨折によって寝たきりになってしまうこともあります。骨は、新しい骨が作られる一方、古い骨を取り除くという新陳代謝を常に繰り返しており、これ骨のリモデリングといいます。骨の生成力が低下し、新しい骨が生まれにくくなるのが骨粗鬆症の原因です。

骨粗鬆症の薬顎骨壊死について

骨粗鬆症の治療薬としてビスホスホネートという薬が開発され、非常に有効なため多くの方々に使用されています。ビスホスホネートは、古くなった骨を吸収する働きをしている破骨細胞の働きを低下させることで骨が減少するのを防ぎます。しかし、ビスホスホネート使用経験のある方が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると顎骨壊死が発生する場合があることが分かっています。抜歯などの侵襲によって顎骨に感染が生じると、感染を起こした骨を破骨細胞が排除して骨が壊死を起こさずに治っていくと考えられています。ところが、ビスホスホネート系薬剤を投与することによって破骨細胞の働きが低下するため、感染を起こした骨が残存することになり、顎骨壊死が起こります。顎骨壊死とは、あごの骨の組織や細胞が局所的に死滅し、骨が腐った状態になることです。あごの骨が腐ると、口の中にもともと生息する細菌による感染が起こり、あごの痛みや腫れ、 膿が出るなどの症状が出現します。

確実な予防法は確立されていませんが、飲み薬タイプのビスホスホネート系薬剤については、3年以上服薬経験がある、もしくはそれ未満でもステロイドを使っているなどリスクが高い場合、抜歯の3か月前から3か月後までの期間、ビスホスホネート系薬剤の服用を中止することが勧められています。

歯科治療に当たって

 骨粗しょう症の治療を受ける前には必ず歯科検診を受け悪いところを治してから骨粗鬆症の治療を受けてください。自分の服用している薬をしっかり把握し、ビスホスホネー等の薬を服用していたら、必ず歯医者さんに伝えて下さい。また、決して自分の判断で服用を中止しないでください。必ずかかりつけの先生の指示に従ってください。 骨粗鬆症の治療薬によって歯科治療後に副作用が現れると報告されています。ビスホスホネート系薬剤の投与を受けていて、口の中の痛み(特に抜歯後の痛み)がなかなか治まらなかったり、歯肉に白灰色の硬いものが出てきたり、あごが腫れてきたなどの症状が出現した場合は、すみやかに相談してください。

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