2024/04/17

インプラント周囲炎とは?症状や原因、放置するリスクを解説!

こんにちは。長崎県諫早市にある歯医者「諫早ふじた歯科・矯正歯科」です。

インプラント周囲炎で歯が痛い人

インプラント周囲炎は、インプラント治療を受けた方によく起こるトラブルのひとつとして知られています。

今回は、インプラント周囲炎がどのようなものであるか解説し、治療方法や予防方法をご紹介していきたいと思います。

インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎

インプラントと天然歯の最大の違いは、歯と顎の骨を結ぶ歯根膜の有無です。天然歯と周りの骨との間には歯根膜があり、衝撃を吸収する役割を果たしています。インプラントは周りの骨と直接結合します。

天然歯とそれを支える周囲の組織に起こる炎症が歯周病ですが、インプラント治療した場合にも、顎の骨に定着したインプラントの周囲に炎症が起こることがあります。これを、インプラント周囲炎と呼びます。

天然歯と比べると、インプラントのほうが歯周病菌に感染しやすいとされています。天然歯にある歯根膜がインプラントにはなく、その分血流が少ないため細菌に対する抵抗力が弱くなるからといわれています。

インプラント周囲炎の発生率を追跡した研究では、インプラントを埋入している患者全体数のうち、約10%の方が発症しているとされています。その前段階の炎症状態(インプラント周囲粘膜炎)も合わせると、約40%の方に生じています。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎の症状が辛い人

インプラント周囲炎の症状は、進行度合いによって異なります。インプラント周囲炎は大きく2つの段階を経て進行します。どちらも似たような症状を呈しますが、簡単にいうと重症度の違いでわかれています。

早期に治療が開始できるように、日々しっかりと観察しましょう。

インプラント周囲粘膜炎

インプラント周囲の歯肉のうち、上層粘膜のみに症状があらわれる段階です。主な症状は歯肉の腫れや出血、赤みなどです。自覚症状がないこともよくあるため、気付きにくいという点に注意しましょう。

周囲粘膜炎の段階であれば、インプラントを支える骨に炎症は広がっていません。比較的症状が軽い状態と言えます。

インプラント周囲炎

インプラント周囲粘膜だけではなく、炎症が歯肉内や歯槽骨(インプラントを支える骨)にも広がった状態です。歯肉の腫れや出血、赤みなどの症状に加えて、歯肉の弾力がなくなり、膿が出ることがあります。

歯肉にポケットが形成され、汚れがさらに溜まりやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。

インプラント周囲炎の原因

喫煙者

インプラント周囲炎の原因となるのは、歯周病に関する菌と同じです。つまり、口腔内が不衛生な状態になっていたり、きちんとメンテナンスできていないとインプラント周囲炎になる可能性があります。

さらにインプラント周囲炎になりやすい体質、基礎疾患などがある方は注意が必要です。具体的にインプラント周囲炎になりやすい行動や生活習慣、体質などについて解説します。

喫煙者である

煙草は口腔内の血流を悪くさせたり、免疫力を低下させる可能性があります。結果として細菌の増殖を促したり、不衛生な口腔内環境を作る可能性があるでしょう。

インプラント治療を行うと決まった段階で禁煙指導をしたり、喫煙者の治療は不可とする歯科医院も存在します。

歯に力を加える癖がある

歯ぎしりや食いしばりなどの癖があると、歯に過剰な負荷がかかります。インプラントに必要以上の力が加わると周辺の歯肉に負荷がかかるので、インプラント周囲炎の原因になることがあります。

歯周病の既往がある

歯周病の既往がある場合でも、しっかりとセルフケア・メンテナンスを行っていれば問題ありません。

しかし、歯周病の原因となる細菌とインプラント周囲炎の原因となる細菌は同じとされています。歯周病の既往があれば、インプラント周囲炎の発症率が高いといわれています。

糖尿病

糖尿病の影響で血糖値が高い状況が続くと、細菌が増殖しやすくなったり、炎症が治りにくくなったりします。糖尿病のある人は、インプラント治療を受ける際に血糖のコントロールが求められます。

無事にインプラント治療を受けられたからと思って油断せず、長期的に血糖値のコントロールに注意を払わなければなりません。

遺伝因子

歯周病そのものが遺伝によって発症するということはありません。

しかし、歯周病は個々の免疫力により発症し、免疫系に関しては遺伝します。抵抗力の弱さが遺伝する可能性があるのです。

家族に歯周病の方がいる場合、歯周病やインプラント周囲炎を発症しやすいのではないかといわれています。

インプラント周囲炎を放置すると

インプラント周囲炎を放置して悩む人

インプラント周囲炎を放置すると、歯肉の弾力がなくなり徐々に歯肉の高さが下がります。最終的には、インプラント体が露出して見えるようになるでしょう。また、インプラントが少しの刺激で動揺するなど、不安定な状態にもなります。

そのまま炎症が治まらなければ、歯槽骨(インプラントを支える骨)へ炎症が広がり、最終的にインプラントが脱落することもあります。治療せずに炎症を放置すると、原因となる菌が血液内に入り込み、全身をむしばむこともあります。

炎症物質が全身にまわると、血糖値を下げるインスリンの働きが悪化して糖尿病を発症したり、女性であれは早産・低出生体重児のリスクが高まります。また、心筋梗塞・脳梗塞にも関与しているといわれています。

インプラント周囲炎の治療方法

インプラント周囲炎の治療

どんなに予防していても、残念ながらインプラント周囲炎を発症することがあります。そんな時、どのような治療が必要になるのかを解説していきます。

インプラント周囲炎の治療は、重症度や炎症の深さなどから、非外科的治療と外科的治療の2つに分かれます。一般的に、外科的治療を選択するケースのほうが重症度が高いです。

非外科的治療

まずは、非外科的治療について説明します。非外科的治療とは手術をともなわない治療のことを指します。

具体的な処置内容は、以下の通りです。

  • インプラント周囲の汚染された歯石を取り除く
  • 抗生物質を内服、もしくは点滴する
  • 歯周ポケットの洗浄、薬液の注入
  • 歯磨き指導やメンテナンス

このような治療を行い、インプラント周囲炎の原因となる細菌を除去し繁殖させないように努めていきます。歯磨き指導は患者さまの希望があれば実施する場合もありますが、インプラントのメンテナンスのコツを知ることができるので受けておくと良いでしょう。

外科的治療

歯周病が進行すると、歯茎だけでなく歯根膜や歯槽骨にまで炎症が及ぶことがあります。その場合は、歯肉を切開して埋入されている人工歯根に付着した汚れや細菌を除去します。

骨を移植するなど大掛かりな治療になることもありますが、こちらは最終段階で行われる治療です。外科的治療を行ってもインプラント周囲炎が改善されない場合は、インプラントを抜去しなければなりません。

インプラント周囲炎の予防方法

歯磨きする男性

インプラントは人工歯なので、強い・虫歯にならないと勘違いされることがあります。確かに耐久性が高く平均寿命が長いですが、長持ちさせるためにはセルフケアやメンテナンスが欠かせません。

指導通りのケアを行っていれば、インプラントの存続率は10年後でも9割を超えると言われています。ここでは、インプラント周囲炎の予防方法をご紹介します。

セルフケアを徹底する

インプラント周囲炎を予防するには、歯周病菌を除去することが大切です。自宅で歯磨きをする際に磨きにくさを感じた場合には、歯ブラシヘッドが大きすぎる、ブラシの毛が太すぎる、毛が硬すぎるなどの原因があるかもしれません。

タフトブラシと呼ばれる細い形の歯ブラシを購入し、通常の歯ブラシと併用するとよいでしょう。

歯科医院でメンテナンスを受ける

歯科医院では、セルフケアでは確認できない細部まで確認することが出来ます。メディカルチェックとして、レントゲンで骨の状態を確認したり、歯ブラシでは取り切れない歯石を除去したりすることができます。

インプラントに過剰な力がかかっていないか噛み合わせをチェックしたり、インプラント体と被せ物の接着が緩んでいないかなども確認してもらえます。

インプラント周囲炎とメディカルチェックは関係ないと感じるかもしれません。インプラントを清潔に保つという観点では需要な役割を担っているので、3ヶ月に一度受けましょう。

まとめ

インプラントのイメージ

今回は、インプラント周囲炎について解説しました。インプラント周囲炎は決してめずらしい疾患ではありません。日頃のメンテナンスを怠ると容易に発症してしまいます。

また、インプラントの構造からして、細菌が奥深くに入り込むと除去するのが難しくなります。インプラント周囲炎を予防しインプラントを長持ちさせるために、治療を受けた歯科医院で日頃からしっかりメンテナンスを受けましょう。

インプラントを検討されている方は、長崎県諫早市にある歯医者「諫早ふじた歯科・矯正歯科」にお気軽にご相談ください。

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長崎県諫早市多良見町中里129-14

医療法人 夢昂会 諫早ふじた歯科・矯正歯科

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